この記事は約7分で読めます
【初期研修】救急外来カルテのテンプレート【コピペでつかえる】
こんにちは、やぎ(@yagi_note01)です!
本記事では、救急外来カルテでの問診・身体所見のテンプレートについてまとめていきます。
コピペ可能なテンプレートの雛形も配布しますので、よければ参考にしてみてください。
初期研修開始後まず不安なのは、救急外来・救急当直ではないかと思います。
そもそも、救急外来は限られた時間と資源のなかで勝負しなければいけない場です。
十分な時間もないなかで、必要なことを落とすことなく問診・身体所見を取っていくのはなかなか難しいものです。
一から十まで丁寧に問診・身体所見を取ることは理想ですが、現実的にはその間に患者さんが何人も積み重ねってしまうでしょう。(いわゆる救急外来が「回らなくなる」という状態)
逆に早くこなそうと焦った結果、必要な情報を取りこぼしてしまっては本末転倒です。
本来は、問診・身体所見では疑う疾患から積極的に情報を集めてくるものといわれます。
しかし、慣れないうちはそれも難しいです。
まずは現実的に、救急当直をこなせるようになることが重要だと考えます。
各電子カルテにはテンプレート作成機能があるはずです。
まずは、テンプレートをつくってまとめておきましょう。
慣れるまではテンプレートを埋めるようにし、慣れてきたら必要十分な情報を中心に集める努力をしましょう。
以下ではわたしが救急外来で使用していたテンプレートを配布します。
なおテンプレート使用にあたっての注意点として、ご理解いただきたいことがあります。
- もともと完璧を目指して作成していません。足りない部分などはあります。必要に応じて適宜調整して使用してください。
- 所見の記載方法や試験の名前などのゆらぎは許容しています。そちらに関しても適宜調整して使用してください。
(例えば、上肢Barré徴候と記載していますが、神経内科のDrからすれば「正しくはMingazziniの上肢挙上試験だ」というようなもの。参考はこちら)
救急外来のテンプレート 問診編
【主訴】
【現病歴】
【既往歴】
※ かかりつけ:
【内服薬】
【アレルギー】
食物() 薬剤()金属()
【生活歴】
喫煙:○本/日×○年
飲酒:
ADL/IADL:
外出 歩行 食事 排泄 更衣 入浴
生活環境:
独居/〇〇と同居
【現症】
バイタルサイン:
意識 JCS/GCS EVM
BT ℃, BP / mmHg, PR /min・整, RR /min, SpO2 %(r.a.)
身体所見:
検査所見:
【アセスメント】
#1.
【プラン】
#1.
特に高齢者の場合、普段のADL/IADLはしっかり確認しましょう!
もし入院した場合に、リハビリの目標などで大切になります。
外出はひとりでできるのか?歩行可能としても自立か、なにか道具を使っているのか?
入浴は?デイサービスは使っている?
食事は?普段の食事量は?何をどれくらい?…などです。
ご家族や施設職員など、普段の様子がわかる方に詳しく聞きましょう。
Onset:
Position:
Quality:
Radiation:
Severity:
Time course:
Aggravation/Aggravation factor
Associated symptoms:
【現病歴】
食事・飲水:
親から見た様子・ぐったり感:
Sick contact:
普段の体重:
【患者背景】
妊娠出産での特記事項:
健診での指摘:
【家族歴】
【ワクチン接種歴】
Up to date?(特にHib/肺炎球菌ワクチン)
特に小児の体重は薬剤や輸液の投与量などに関わるので、忘れないように!
最終月経:/〜 ○日間
coitus(最終性交):
妊娠出産歴:G○P○
女性をみたら妊娠を常に鑑別に入れましょう!
こちらで年齢からの印象で勝手に除外しないほうがいいと思います。
「女性のかたにはみなさんに確認させていただいているのですが…」などと伝えて、さらっと問診するのが個人的コツです。
高血圧
脂質異常症
糖尿病
喫煙
心疾患・血管疾患の家族歴
年齢(男性≧55、女性≧45)
救急外来のテンプレート 身体所見編
■体型 痩せ/中肉中背/肥満
■頭頚部
眼球結膜黄染()結膜充血()
眼瞼結膜蒼白()点状出血()
口腔内発赤()扁桃白苔()う歯()
頚部リンパ節腫大・圧痛()頚静脈怒張()甲状腺腫大・圧痛()
Jolt accentuation()項部硬直()
■胸部
心音 整/不整 過剰心音()心雑音()
呼吸音 左右差()ラ音()
■腹部
腸蠕動音 減弱/正常範囲内/亢進
平坦/膨満 軟/硬
自発痛() 打診痛() 圧痛()
Murphy徴候()肝叩打痛()McBurney点圧痛()
■腰背部
CVA叩打痛 R/L = /
脊椎叩打痛()
■四肢
下腿浮腫()皮疹()末梢冷感()
■脳神経
I:normal
II:視力障害() 視野障害()
III/IV/VI:瞳孔 R/L = / 眼球運動障害() 複視() 眼振()
V:感覚低下()
VII:睫毛徴候() 口角下垂()
VIII:難聴() 耳鳴() めまい()
IX/X:口蓋垂偏位() カーテン徴候() 構音障害()
XI:胸鎖乳突筋 / 僧帽筋 /
XII:舌萎縮() 舌偏位()
■運動
上肢Barré徴候 / pronator drift test /
Mingazzini試験 /
■感覚
四肢・体幹の感覚低下 左右差
■小脳
指鼻指試験 /
回内回外試験 /
膝踵試験 /
救急外来のテンプレート スコアリングなど
発熱(≧38度)
咳嗽がない
前頸部リンパ節腫脹・圧痛
扁桃白苔付着
年齢:3〜14歳(※45歳以上は‐1点)
→ 各1点。2点以上で溶連菌迅速検査推奨。
A-DROPなど各種スコアリングもテンプレートに入れておくと便利です。
対象患者や感度・特異度など使用にあたっての要件はありますが、まずはすぐに使えるようにしておきましょう。
テンプレート使用時の注意点
テンプレートの使用は業務効率化に役立ちますが、使用にあたってはいくつか注意すべきことがあります。
テンプレートをそのまま登録しない
身体所見などのテンプレートをそのまま登録・確定させないようにしましょう。
カルテにテンプレートを使用すること自体は問題ありませんが、デフォルトが「正常所見」となっている点は注意が必要です。消し忘れがあると、不適切なカルテが作成されることがあります。
確かにテンプレートを使用することで、記載漏れは減りますが、テンプレートの内容と実際の患者の所見が異なる場合があります。
カルテを一度確定した後で修正しようとすると、電子カルテのシステムによっては、その修正がデータ上に残り、場合によってはカルテの改ざんとみなされることもあります。
したがって、テンプレートを使用する場合は、実際の患者の所見に合わせて内容を修正し、その後カルテを確定させることを意識しましょう。
カルテ記載時点でまだ不明な部分などは、テンプレートの文章を残さず削除して登録するようにしましょう。
また、テンプレートは項目だけにして、正常所見は記載しないようにするのも予防になります。
まとめ
- 救急外来では、必要な情報を短時間で集める必要がある。
- 電子カルテのテンプレートを整理して、使いこなしましょう。
- テンプレートを使うときには、テンプレ文章をそのまま登録しないように注意。
テンプレートを使いこなすことで、時短・見落としの防止が可能です。
なれないうちはまずはテンプレートを埋めるように情報を集めることで、必要な情報が漏れないようにしましょう。
一方でテンプレートを埋める「作業」になってしまうと、無駄に時間がかかって救急外来が回らなくなるリスクもあります。
徐々に必要な情報を取捨選択できるように、考えながら情報を集めることも常に意識しましょう。
適切なアセスメントとプランは、まずは適切な情報あつめから。
テンプレートを使いながら、徐々になれていきましょう。
カルテ記載・テンプレート作成におすすめの本
カルテテンプレート作成におすすめの本を2冊紹介します。
こちらの本は、カルテのテンプレート・チェックポイントがまとまっており、かなり実用的です。
頭痛や腹痛などの各症候で落とすべきでないポイントが、チェックリストとしてまとまっています。
この本のチェックリストを電子カルテに登録しておけば、いざというときに役立ってくれるでしょう。
救急当直の不安をかなり減らしてくれました。おすすめです。
先に紹介した【できる救急外来 カルテを使えばうまくいく】は要点がまとまっており実用的ですが、こちらの本はより多くのシチュエーションでのカルテ記載の作法を学ぶことができます。
救急外来だけでなく、病棟カルテやサマリー記載、集中治療でのby systemでの評価まで網羅しています。
価格も医学書としてはそこまで高くなく、非常におすすめの一冊です。
カルテの「型」としてこの本のテンプレートを利用しましょう。
コメント