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【これで十分】初期研修医におすすめの画像診断の教科書まとめ
こんにちは、やぎ(@yagi_note01)です!
本記事では私が初期研修医のときに読んでよかったと思う、心からおすすめできる画像診断の教科書を紹介します。
初期研修中は病棟や救急当直など慣れない業務も多い中、考えながら動くことが求められます。
そのためにも実践の場だけでなく座学でも勉強をしていく必要がありますが、時間と体力的余裕が有り余っている人はあまりいないはずなので、効率よくやっていきたいですよね。
そのためには、まずはよく使う検査・治療について勉強していくのが一つのポイントだと思います。
よく使う検査としては、心電図・血液ガス・血液検査・レントゲン・CT・エコーなど多々あり、どれも重要です。
中でも画像診断は診療方針を決める決定打になることもあり、しっかり勉強して武器にしておきましょう。
今回は初期研修中の画像診断の勉強におすすめの教科書をご紹介します。
全研修医おすすめの教科書
CT読影レポート、この画像どう書く?
まずは何よりもこの教科書です。特徴は以下の点。
- CT画像の見方やレポートの書き方を臓器別に解説
- 解剖や病態の関係も詳しく説明されている
- ベスト指導医賞を受賞した著者がわかりやすく教えている
- 放射線科研修で初めに知りたい知識がつまった1冊
頭部から体幹部まで、初期研修に必要な代表的な解剖・疾患は一通り網羅されており、この教科書をひととおり通読しておくと初期研修中の画像診断の土台が出来上がります。
CT読影レポートの書き方のレクチャーという形式で、基本的な画像解剖の解説、common diseaseの所見の取り方や表現の仕方が無駄なく記載されています。
また脾臓の造影早期相でのモアレ像など、特に病的な所見ではないけれど、知らないと気になってしまうような所見についても説明されています。
自分はこの1冊を初期研修中はバイブルと呼んで救急当直に持ち込んで暇さえあれば参照していました。
とにかく素晴らしい一冊。
画像診断の教科書をまず1冊買うとしたらこの本がおすすめです。
画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン
こちらもかなりの名著です。
画像診断をマスターするために必要な知識とスキルを効率よく身につけられるシリーズで、現在はVol.3まで出版されています。
特徴は以下の点。
- 見逃してはいけないサインや陥りやすいピットフォールを詳しく解説してある
- 解剖図や病態図を用いて、解剖と病態の関係を分かりやすく説明されている
- カンファレンス形式で、研修医の疑問や間違いに対して指導医が丁寧に回答しているスタイルなので読みやすい
肺の気管支の分岐や二次小葉の解剖など「大事なのはなんとなくわかるけど、正直よくわからないな」というテーマもわかりやすく解説されています。
「ワンポイントレッスン」というテーマのため網羅性には欠けます。
そのため、上記の『CT読影レポート、この画像どう書く?』をまず読んで土台をつくったあとに読むといいでしょう。
画像診断のコツが満載で、読みやすく楽しい一冊です。
レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室第2版
ベストティーチャーに教わるシリーズですね。特徴は以下の点。
- 胸部X線とCTの読み方を「わかりやすさ最優先」で伝授する入門書
- 胸部画像の基礎知識から、黒くなる病態、白くなる病態、白と黒が混在する病態などを詳しく解説
- 症例写真・シェーマがきれいで見やすい
- 胸部レントゲンの読影の手順についての解説が秀逸
胸部レントゲンの読影については、ルーチンで撮影されることも多いので基本的な手順は覚えておいたほうが良いです。
この教科書は胸部レントゲン・胸部CTの基本的な読影手順についてやさしく解説されています。
意外と最初は手こずる肋骨の数え方やシルエットサインなども、シェーマがわかりやすいのでスーッと頭に入ります。
胸部画像の教科書を読むとしたら、まずはこの本を推奨します。
余裕があれば読みたい教科書
本当は教わりたかったポータブル胸部X線写真の読み方
これ、めっちゃいい本です。
読むのは必須ではありませんが、読むと確実に力がつきます。特徴は以下の点。
- ポータブル胸部X線写真の読影について、7日間の特別講義と2日間の補講を通じてやさしく学べる入門書
- 読影手順・正常像の理解から、胸水、肺水腫、無気肺、肺炎、気胸など、臨床に役立つポータブル写真の読み方をCTとの比較や指導医と若手の会話を交えながら噛み砕いて解説
- ポータブル写真の読影に日常的に携わる医師におすすめの一冊
病棟や救急外来で撮影される胸部レントゲン写真は、臥位で撮影されるものも多いです。
胸部レントゲン写真の教科書の解説は立位の解説が多く、臥位で撮影されたものについて解説している教科書は多くありません。
上記の『レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室第2版』も、立位での胸部レントゲン画像の解説になります。
立位と臥位では重力がかかる方向が異なるため、水や空気が溜まりやすい部位も変わります。
この教科書は、臥位で撮影されることが多いポータブル胸部レントゲン写真について、非常に詳しく評価のポイントを解説してくれています。
いちど読めば、救急外来で胸部レントゲンを評価がより深くできるようになるでしょう。
画像診断を武器にしたい研修医にはぜひ読んでほしい1冊です。
すぐ役立つ救急のCT・MRI 改訂第2版
画像診断KEY BOOKという、放射線診断科の医師ならみんな読んでいるシリーズの1冊です。特徴は以下の点。
- 脳血管障害、心大血管、呼吸器、消化管、外傷など、各領域の病態・画像所見・鑑別診断のポイントを見開き構成で詳述
- CTとMRIの比較や臨床的な考察を豊富に盛り込んでおり、救急当直に役立つ一冊
救急疾患の典型的画像と解説が、見開きで簡潔にまとまっています。
この本を救急当直に持ち込んで、折に触れてパラパラとめくっているだけでも力がつくと思います。
ただ、ページ数はそこそこ多いです。
研修中に通読するのはあまり現実的ではないと思いますので、初期研修中は辞書のようにして参照するのが良いでしょう。
画像診断を武器にしたい人、将来放射線科を考えている人は一度通読しておくとかなり自信がつくと思います。
レジデントのための画像診断の鉄則
この本はコスパの良い本だと思います。特徴は以下の点。
- 画像診断のギモンに答える1冊で、CT、MRI、超音波などのモダリティの使い分けや各領域の読影法をわかりやすく解説
- 著者が研修医や医学生との読影カンファレンスで語ってきた画像診断のコツやピットフォールを、最低限押さえておくべき“鉄則”としてまとめてある
全身の各臓器の画像診断におけるコツ・ピットフォール集です。
研修中指導医から教えてもらうようなちょっとしたポイントや、鑑別のまとめの表などがたくさん載っています。
『画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン』よりも多くの項目が端的にまとまっているので、余裕があれば目を通してみると面白いと思います。
どの順番で読めばいい?
初期研修医におすすめの画像診断の教科書についてまとめました。
最後に、おすすめ読む順番を考えてみたいと思います。
全身の臓器別に、はじめに知りたい知識が網羅されています。
まずは1週間程度を目安にさっと通読することで、必要な知識の土台を身につけましょう。
胸部レントゲンの読影については何科にいくにしても身につけておきましょう。
胸部レントゲンだけでなく、胸部CTの読影についてもきれいにまとまっているので、どちらも読むと良いと思います。
画像診断ワンポイントレッスンは、通読を目指すよりも、パラパラめくって気になった部分をつまみ食いするように読むのがおすすめです。
いずれも知らないと差がつくポイントばかりが載っています。
まずはVol.1だけでも買って見てみることをおすすめします。
余力があれば読みたい本のうち、特におすすめなのが『本当は教わりたかったポータブル胸部X線写真の読み方』です。
ポータブル胸部X線は勉強するとしないとで差がつくポイントですし、単純に読むと面白いです。
この本は頑張って通読しましょう。
この記事が役に立てば幸いです。それでは。
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