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【医学書レビュー】抗菌薬 BOOK & MAP【秀逸なまとめ】

抗菌薬BOOK and MAP

この記事は約5分で読めます

こんにちは、やぎ(@yagi_note01)です!

今回は、抗菌薬についてとてもきれいにまとまっている良書があったのでご紹介したいと思います。

こちらの『抗菌薬 BOOK & MAP』です。

感染症・抗菌薬については国家試験と実臨床での乖離がある分野の一つかと思います。

私自身、国家試験で必死に勉強したはずなのに、初期研修以降で必要になる知識は全然学べていなかったと愕然とした思い出があります。

その分感染症診療・抗菌薬については色々な書籍が出版されており、どれも良書ばかりです。

しかしながら青木先生のレジデントのための感染症診療マニュアルに関してはもはや分厚すぎて辞書ですし、岩田先生の抗菌薬の使い方・考え方も非常に詳しくわかりやすく面白いですが版を重ねるごとに分厚くなっています。

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抗菌薬の勉強をしようとすると、どうしても分厚い本の通読になりがちで、初学者には全体像の俯瞰がしにくい印象があります。

やぎ

もちろん繰り返し通読するのが理想ですが、限られた時間で読むべき本はたくさんありますし…。

抗菌薬 BOOK & MAPはわずか104ページに実臨床で必要になる抗菌薬の知識がきれいにまとまっており、理解の補助となる肌感覚の記載も多く非常におすすめです。

また付属する抗菌薬マップは、抗菌薬版究極マップとでもいうべき代物であり、このマップのためだけでも購入する価値があります。

目次

本書の特徴

本書は感染症診療に関わる薬剤師のかたにより書かれた本です。

著者の佐野先生はこれまでslideshareでいくつものまとめスライドを挙げており、本書はそれらをもとにブラッシュアップして作成されているようです。

抗菌薬の要点についてまとめた『抗菌薬BOOK』に、抗菌薬のスペクトラムや投与量などについてひと目でわかるようにまとめた『抗菌薬MAP』2枚がついている構成となっています。

抗菌薬BOOK & MAP
本+持ち歩けるマップ2枚(Amazonより転載)

特筆すべき特徴は以下の4点です。

  • 抗菌薬BOOK 本編は104ページと通読性が高い
  • それにも関わらず、抗菌薬についての知識が簡潔にわかりやすくまとまっており、図表も豊富
  • 抗菌薬MAPはいわばmedu4の国試究極マップの抗菌薬版とでもいうべきもの。
    病棟でポケットに忍ばせておきたい逸品。
  • 内容は充実しているのに、医学書としては安価な3,000円(税込3,300円)

抗菌薬BOOK

手にとってみるとわかりますが、他の抗菌薬の書籍よりも書籍自体の薄さは目立ちます。

物理的に薄いうえにまとめの図表もあるため、通読性はかなり高いです。

それにも関わらず、内容はかなり充実しています。

特に臨床で出会う主要な細菌・よく使う抗菌薬に焦点を絞って解説してある点がよく、研修生活で最低限知っておくべきポイントについて全体像を把握することが可能です。

PEK、HaM、SPACEといった細菌のグループでの捉え方の説明もわかりやすく、細菌の「しぶとい」や「気が抜けない」などの臨床的なイメージ・肌感覚も上手に説明されています。

まとめの図表が多くどれもきれいにまとまっている(Amazonより転載)

個人的に特によかったのは抗菌薬アレルギーの章です。

βラクタム系抗菌薬へのアレルギーは臨床でよく遭遇する抗菌薬アレルギーですが、非アレルギー性の副作用(腹痛・嘔吐・下痢)をアレルギーと申告されている場合もあり、真のアレルギーは申告されているより少ないと言われています。

具体的にどのように問診して見極めればよいのか、また真のアレルギーの場合にどのような代替抗菌薬を選択すればよいのかについて具体的に記載されています。

また印象深いのが、ペニシリン系・セフェム系抗菌薬の構造式から、アレルギーの交差反応について解説してある点です。

分子構造に踏み込んで、なぜ同じβラクタムアレルギーでは必ずしもβラクタム系抗菌薬使用が禁忌ではないのかが解説されています。非常に面白いです。

やぎ

教え上手な上級医に指導してもらっているかのようにスッと頭に入ってくる文章ばかりです。あっという間に読み終わります。

抗菌薬MAP

抗菌薬のスペクトラム・用法用量などが1枚で確認できる『抗菌薬MAP』と、腎機能別の用法用量に特化した『抗菌薬MAP mini』の2枚あります。

まさに、抗菌薬版の究極マップというべき代物です。

MAPの密度は凄まじく、この資料を自分でつくろうと思ったらどれほどの時間と勉強量、労力が必要だろうかと思います。

やぎ

こういうのが欲しかったんですよ!

また、抗菌薬MAPは出版社サイトから無料でpdfをダウンロード可能になっており、スマホからいつでも参照することが可能です。

※ pdfは1冊につき1ライセンスなので、中古だとダウンロードできない可能性高いです。新品を購入しましょう。

価格は3,000円(税込 3,300円)

内容は非常に充実しているのに、医学書としては安価な3,000円(税込3,300円)で購入できます。

この書籍を出版しているシーニュは、他にも『ホスピタリストのための内科診療フローチャート』や『ポケット呼吸器診療』比較的安価で良い本を出版しており、本書のように無料pdfをつけてくれることもあるのでいい出版社だなと思います。笑

おすすめの使い方

  • 抗菌薬BOOKを一度通読
  • 抗菌薬BOOKの図表はどれもきれいにまとまっているので、適宜写真などでまとめノートに保存しておく。
  • 抗菌薬MAPまたはそのpdfを抗菌薬を処方する際に都度参照する。

抗菌薬BOOKは一度通読してしまいましょう。本編は104ページしかないので、1日で読み切れる量だと思います。

また図表もきれいにまとまっているものばかりなので、いつでも見返せるように写真などでNotionやEvernoteなどにまとめて保存しておくと良いと思います。

抗菌薬MAPは投与量の一覧としてかなり秀逸なので、病棟で都度参照するのが良いでしょう。

紙を持ち歩いて自分のメモを追記しながら使っても良いですが、pdfをスマホで参照するのが現実的かなと思います。

きれいにまとまり過ぎている?

また本書はきれいにまとまっている一方で、これまでまったく抗菌薬関連の本を読んだことがない状態で読むにはやや味気ない可能性もあります。

やぎ

ある程度他の本で勉強したからこそ、そのまとまり方が印象深いのかもしれません。

そういった場合には、天沢ヒロ先生の『わかる抗菌薬』、『使いこなす抗菌薬』シリーズがおすすめです。

こちらも薄く通読向きの本で、内容も対話形式で読みやすいです。こちらを最初に読むのもいいでしょう。

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まとめ

本の内容、抗菌薬MAP、そして無料pdfがついて比較的安価と大満足の1冊でした。

抗菌薬を学びたい医学生や研修医だけでなく、看護師や薬剤師などの医療関係者にもおすすめです。

よろしければぜひ手にとってみてください。

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この記事を書いた人

こんにちは、やぎです!
もと再受験生、現在は念願かなって医師。一児の父。
つねに仕事・勉強と子育ての両立を模索し、業務効率化を探求しています。
趣味はガジェット・デスクの環境構築です。

このブログは日々のQOLを上げる効率化、捗るモノやコトを発信しています。
若手医師・研修医・医学生・医療従事者の方々に役立つ情報を心がけます。
よろしくお願いします!

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